筆者がしばらく離れているうちに、レコード業界は大変なことになっているらしい。昨年あたりから、主にEU圏内でクラシックのレコードの投げ売り(?)がなされている。筆者が先日購入したGlenn Gouldの全集などかわいいものらしい。極め付けはこれであろう。
Mozart Complete Works 170 CD Box
輸入盤では送料を入れても12,000円、一枚あたりの単価は70.6円である。間違ってもこちらを買うべきではないだろう。
モーツァルト大全集 (全24巻/CD180枚組)(DVD付)
ブラームスのこれもよさげだが、演奏者がネックか。録音はDGだからいいだろう。46枚で8,200円、一枚180円はなかなかC/P良好だ。
Brahms Complete Edition
これらに刺激されて、先月から散財しているのに、こんなものを買ってしまった。
Gustav Leonhardt Jubilee Edition
CD15枚で5000円弱、それほど安くはない。では、こちらはどうか。
Deutsche Harmonia Mundi: 50 Years (1958-2008)
こちら、Tower Recordで送料込みでほぼ5,000円。50枚組だから、一枚100円。まずまず満足できる値段であろう。どうやらこの時代、クラシック・ファンでいるのが最も散財しないでよいらしいのだ。特に、ロックのはひどい。未発表の音源を既発のものと組み合わせて水増しして売るような商売が横行しているのだ。これでは海賊盤(ブートレグ)は非難できまい(筆者も買うことにする)。ファン心理につけこんだあくどい商売と言えよう。たとえばこの商品である。
Neil Young Archives, Vol. 1: 1963-1972
では、ジャズの世界ではどうか。1999年に惜しまれつつ世を去った不世出の(ちょっと大げさ?)ピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニの全集が出ている。途中でBlueNoteからDreyfusへ移籍しているため、それぞれのものが出ている。
Complete Recordings of Michel Petrucciani
The Complete Dreyfus Jazz Recordings
このふたつは買ってしまった。いちばん出そうなのはMiles Davisのcomplete boxのようなものだが、彼も途中で移籍しているためか、オフィシャルでは存在しない模様である。RockではBeatlesのcompleteも完全なものは存在しないようだ(分売になっているみたい)。
このところいろいろ購入したCDの中では、すごくありふれた結論ではあるのだが、新しいものではLou Reedの "Berlin Live" が、そして筆者が回帰しているWoodstock時代のRock'n Rollについては、Allman Brothers Bandの2nd, "Idlewild South" と、超有名盤であるCrosby, Stills, Nash & Youngの "Déjà Vu" がよい。Lou Reedは年を取ってますます円熟味を増しているうえに、このアルバム、録音がとてもよい。Louは機材オタクでもあり、例のアコースティックライブでも、生ギターの音を損なわない特別のアンプを使用したらしい。
"Idlewild South"については、これが出た当時はあまり高評価を受けなかったらしいのが不思議である。何というか、非の打ち所のない演奏である。ブルースを白人(ということは、日本人にも)受けするようにロック的にアレンジしたものとしては彼らの演奏が最右翼であろう。ブルース・ギタリストとして名の高いクラプトンも、デュアン・オールマンとロビー・ロバートソンには一歩劣る、というより、彼らの技法をマネ、というと言い方がわるいが、取り入れているのである。そして "Déjà Vu" については、、、もともとCSN(当然Yも!)についてはまったく興味がなかったのだが、かのJerry Garciaが彼らの演奏を聴いて、「自分のバンドでもコーラスをやろう!」と思い立ち、生まれたのが大名盤である "American Beauty" であるからして、これを避けるわけにはいかなくなった。もともとライブ盤の "4 Way Street" は持っていて、あまり感銘を受けなかった。ここに収録されていた "Ohio" が、スタジオ録音盤に勝るものではなかったからである("Ohio"の成立にまつわる事情を知っていれば、それも当然であることが理解できよう)。
で、このスタジオ録音盤の "Déjà Vu", Joni Michelの "Woodstock" が収録されている。Joniの "Shadows and Light" に収録されていたものと比べてみるが、どうも同じ曲には聴こえない。歌詞をみながら聴いてみると、どうやら歌詞は同じようである(笑)。メロディラインに変化がないのだとすると(本当に変化がないのだろうか?)、ビートが入るだけでここまで曲が変わってしまうものだということになる。一般的には、もちろんJoniのオリジナルよりも、ここでのカバーのほうが有名だと思われる。1970年という微妙な年にreleaseされたこのアルバム、ベトナム戦争の敗戦やニクソン・ショック、そしてオイル・ショックという出来事によって、アメリカの成長が停滞し、ヒッピー文化が終わるその幕開けを告げるアルバムとなる。そういった時代背景を離れて聴いてみても、やはりこのアルバムは名盤と言えるだろう。Woodstock、そこに行けばみな自由になれるよ・・・
そのほかでは、しばらくFrank Zappaのアルバムを集めていこうかと思っている。危険な徴候である。
しかし "Idlewild South" にしても、"Déjà Vu" にしても、収録時間30分強にして、両方ともSHM-CDだから一枚2,500円くらい。とてもC/P的にはお勧めできないのであった。その二枚だけで、DHMの50枚組が買えてしまう・・・