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医療過誤のもんだい(2)

A 民事補償

 現行の、医療過誤に対する民事訴訟には、以下のような問題点がある。
 1)時間や費用がかかる
 審理のスピードは速くなってきているとはいえ、医事紛争のばあいは通常の裁判に比べて時間がかかる。準備書面の提出を延々と繰り返し、鑑定人を依頼したりして、たいていは半年以内で終わることはない。下級審でも一、二年かかる。また、弁護士費用はすくなくとも一時的には立て替えなければならない。敗訴の場合はこの費用も負担しなければならない。
 2)補償が確実ではない
 医療機関も個人も保険に入っているので、支払能力がないということはないが、保険の支払が裁判を前提としているために、医療者側が和解したくとも、裁判上の和解にする必要があることがある。
 3)判決が裁判所によって異なる
 専門性を考えれば判決に統一性がないのは十分頷ける。また、判決は世論や政府の影響を大きく受け、時代によってどこまでが過失と認定されるのかが変化する。
 4)医療に対する不信感の醸成
 裁判が長期化すれば、感情的対立も激化し、医療への不信感を増長させることになる。
 要は、迅速・衡平・経済といった、民事訴訟の原則に反する部分がおおいのである。
 また、これは鑑定人を裁判所が依頼した場合にいえることだが、鑑定人は主に医療の専門的知識が期待されているわけであるが、大学教授等が選任されたばあい、かならずしも臨床能力がたかくない場合や、一般病院の日常臨床についての知識が乏しい(病院のレベルによって求められる医療水準は異なるというのが判例だが、教授はある病院における医療水準を決定する能力は通常持っていない)ということもあって、妥当性のある判断を下せないケースもある。以上のことは、今裁判所が試みている医療の専門チームを編成したばあいにもまったく同じことがいえる。つまり、ほんらい、ある病院における診療レベルが妥当であるかどうかを判断できるのは、その病院に勤務している<まともな>医師しかいない、というのもあながち極論でもない。この「誰が適切に判断できるのか?」という質問は、医事紛争ぜんたいにとって、そして司法・行政全体にとって、かなりコアな問いだとおもわれるので、また機会があればとりあげることにしよう。

 デメリットのみを挙げるのも衡平を欠くとおもわれるので、訴訟にしたばあいのメリットも挙げておこう。
 1)給付の水準がたかい
 判決をみたばあい、逸失利益からではとても測れない巨額の金額が認定されていることがある。賠償額は、慰謝料+逸失利益となるが(じじつ上裁判費用もここにふくまれる)、この慰謝料がかなり多額に認定されるばあいが散見される。これはひとえに裁判所の心証によるもので、客観性はない。
 2)遺族(存命中では本人)の復讐感情がみたされる
 事故を起こした担当医から賠償させる、ということで、感情面ではよい結果が得られるかもしれない。また、報道されることで、どこの医療機関でもんだいが起きたかということが世間に知られるので、感情面だけではなくて、医療機関の選別にもプラスになる可能性がある。

 メリットについては数えきれていないかのうせいが高いので、思いつくかたはコメントをいただきたいとおもう。

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2005年12月29日 11:58に投稿されたエントリーのページです。

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