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デジタルとアナログ

 デジタルカメラが未だに銀塩の持っている情報量を超えるのに苦労しているのと同じ現象が音楽の世界でも生じている。もちろん、レコードの話である。

 以前、デジタル・マスタリングの際に基準となるサンプリング周波数をよりたかくしたり(CDの再生の場合は44.1kHzだが、Sonyなどが中心となって取り入れているSACD(スーパー・オーディオCD)では2822.4kHzである)、クロック発振器をより精度の高いルビジウムを使用したことで劇的(とまではいかないが・・)な音質改善をみたことを書いた。いま、読書が思うようにできないこともあって、以前持っていたCD(今は手元にないもの)を購入し直してみたのだが、そのCDではDSDマスタリング、つまりSACDに使用されているDirect Stream Digital方式という1bit方式のマスタリング手法が採用されている。

 もう以前のCDを聴いてから時間が経っており、直接の比較ができないのが残念であるが、たしかに細部の響きなど改善されているように思われる。ということは、まちがいなくCDは、アナログテープに録音された情報の100%の再現にはいまだに成功していない、ということを意味する。

 ここで筆者が不思議におもうのは、'80からはじまったデジタル録音についてである。DENONはもっと早く'70からデジタル録音をはじめていた。使用されている機器については、たとえばTELACではCDに表記されている。それをみるとせいぜい20bitのD/A変換器を用いていたに過ぎないし、もちろんクロック発振器は水晶であり、現在一部で使用されているルビジウムや、原子時計に用いられているセシウムなどの超高精度の発振子は用いられていない。

 ということは、同時にアナログテープによる録音が行われていないかぎり(筆者の知る限りそのようなケースはないと思われるが、ありそうでもある)、その年代のデジタル録音は、マスタリングの改良による音質改善の恩恵に与れる可能性は、かなり低い(もちろん、ルビジウム発振子を用いたカッティングなどは、デジタル録音のばあいにもメリットはあろう)とおもわれるからである。

 録音技術はLPレコードが登場した1950年代前半頃から飛躍的に進歩しはじめ、録音史上に残るゲオルグ・ショルティ指揮の「指輪」が登場したころにはほぼ完成されていたようだ。それから後の時代には、マイクロフォンといった基本的な機器については、ほぼ性能向上はフラットになってしまった印象すらある。あまりよい印象を持っていなかったステレオ最初期の米RCAによる録音(たとえばフリッツ・ライナーとか)も情報量がきわめて多かったことがわかっているし、米ブルーノートや米コンテンポラリーなどの名録音は、現代のスタジオで録音されたものを上回る音質であることがしばしばだが、それは録音媒体(デジタルかアナログか)よりも、録音されたスタジオやホール、そして用いられたマイクロフォンやその配置のほうが遥かに音を決定するのに重要であることを示している。


 ということは、やっぱりデジカメの画質を決定する最大の要因は、撮像素子ではなく、レンズだろうと思われるのだが・・・もちろん、撮影を行う人間の技量という要素がlimiting factorであることは、いうまでもない。

>アナログを超えていないのは当然
 フォーサーズ規格という発想は、「理論的には1/4サイズで35mmフィルムの情報量を超えうる」ということからできた規格だけれども、ずっと35mmサイズのデジカメの開発・発売に難色を示し続けてきたNikonが新たに世に問うD3の圧倒的な低ノイズ・階調性のよさをみるかぎり、少なくとも現行のフォーサーズは35mm銀塩を超えていないのではないか、という疑問があります。

 逆に、CDの規格が不十分だとは最初から言われてきたことですが、16bitであってもA/DおよびD/A変換の精度が上がれば、アナログの情報量に匹敵する(規格上、超低音と超高音はCDでは再生は不可能だから、アナログを超えることは不可能)可能性が、精密発振器やDSDリマスタリングの採用で見えてきた、ように思いますが。

#つまりCDの音質に問題があったのは、デジタル技術の成熟さに問題があったためで、
#規格の帰責性はすくないのでは、ということです。

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コメント (1)

スイスの山村:

ディジタル、画像の世界では、まだまだ若いから、アナログを超えていないのは当然だし、しかし、開発の速さもすさまじいから、あまり、「苦労している」印象はないんだけれど...。
要は、これからだ、ということでしょう。

音の世界では、事情は全く異なると思うけれど。
一言で言えば、特にCDDAの規格は、80年代前半の技術水準で容易に製造できることを基準に規格が定められたわけだから、大した音が出ないのはあたりまえ。特に、ある程度以上コストをかけられる場合は、アナログに完全に軍配があがるのは自然でしょう。

SACDについては、間接的に聞いている限りでは良い印象だけれど、まだコメントできません。(笑)
ヨーロッパでソフト売ってるんだろうか?(半分本気で)

ということで、いかがでしょう?

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2007年11月04日 21:28に投稿されたエントリーのページです。

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