なんだか、すっかり本を読まなく(読めなく)なってしまったなあ・・・
最近の購入
岡義武「国際政治史」岩波現代文庫
吉行淳之介「詩とダダと私と」講談社文芸文庫
ほとんど、この二つの文庫しか買っていない気がする。
最近の読了
荒このみ「マルコムX」岩波新書 B2
大岡昇平・埴谷雄高「二つの同時代史」岩波現代文庫 B1
日本人にとって縁遠い存在であったマルコムXの、時宜を得た概説書。マルコムXがイスラム教の伝道師として出発し、次第にキング牧師はじめ世界中の人権運動家と提携して、黒人のみならず、虐げられた人民すべての解放を訴えるように変化してゆく、という発展が綴られている。本書で強調されているのは、マルコムXが決して暴力賛美者ではなかったこと、日本において流布されてきたマルコムX像は、アメリカのマスコミによって作られた像である、ということである。そして、最終的に暗殺というかたちで死を遂げたことに関しては、キング牧師と同様の理由であることをほのめかしている。つまり、アメリカ政府が何らかのかたちで関与していた、ということである。
日本でも、権力とマスコミの癒着によって、事実上の報道管制が、あるいは報道操作が行われているという事例が後を絶たないのではないだろうか。本来、外部に出ないはずの、検察による取り調べの自供が、なぜリークされるのだろうか。そして、どうしてそれをほとんどのひとが不審に思わないのだろうか。
大岡と埴谷の対談、たとえば先ほど取り上げた北杜夫と埴谷の対談などに比べて、格段に面白い。その理由は、二人の学識と小説家としての経験が遺憾なく対談内で発揮されていること、二人が同世代の人間で、共通する問題意識を持ってきたこと、が大きいだろう。お互いの代表作である「俘虜記」と「死霊」に対する深い読み、相互理解もさることながら、そこから二人の小説家としての資質のちがいも明らかになってゆく。さらに、第三項として登場するのは、同じ「戦後派」に分類される作家の武田泰淳である。戦後最高の作家と言ってよい(大江健三郎や村上春樹は、という声が聞こえてきそうだが)この二人が最高の読み手として挙げるこの人物は、やはり凡庸な作家ではなかったのである。