湯ノ沢峠から白谷丸までは250mの登りで、本日の行程でいちばんきつい場所であるが、日当たりがいいためか残雪もほとんどなく、霜が解けて泥濘になっている場所を除けば問題はない。右手に白ガレをみながら進んでゆく。白谷丸の手前、東南に小ピークがあり、石で囲まれた舞台のような場所がある。ここで何かの祭儀を行ったものなのだろうか。白谷丸からの展望はよい。


ここから黒岳まではすぐだが、「黒岳」という名前からわかるように、ここはうっそうとした広葉樹林に覆われた山で、幸いなことに伐採があまり入らなかったのだろうか、よく保存されている。ここから大峠に降りる分岐があるが、ここにクルマでも置いておいて雁ヶ腹摺山と黒岳両方に登る人が利用するのだろうか。展望はない。
黒岳からは牛奥ノ雁ヶ腹摺山までの鞍部まで100mばかり下る。ここは草原となっていて、水が取れそうだ(たしかガイドブックには20分くらい下るとよいと書いてあった。おそらく東だろう)。ここから150mばかり登ると牛奥ノ雁ヶ腹摺山である。ここから小金沢最高点までの稜線はなだらかで、牛奥ノ雁ヶ腹摺山が著明なピークとは感じられない。
さすがに標高がやや高いためか、より北に位置するためか、南大菩薩よりも小金沢連嶺のほうが積雪量は多く、特に平坦な場所を延々と歩くような場所では時間を取られてしまう。小屋を出たのは七時過ぎであったが、小金沢最高点には十一時過ぎとすでに四時間が経過している。ただ、ここから下っていくうちに、1957mピークが見えてきて、ようやく大菩薩峠へ近づいたという感にさせてくれる。ここでスノーシューを抱えた単独の人に遭う。湯ノ沢峠に泊まるということであった。1957mへの登りは雪はわずかで思ったよりも時間はかからない。ほどなく石丸峠に着く。ここから地形図では稜線を越えるようになっているが、実際には西面を巻く道なのでアップダウンはほとんどない。大菩薩峠に着いてみると、そこは別世界。無雪期ほどではないが、無数の踏み跡と喧騒。大菩薩へ来た、と実感する瞬間である。到着は13時半近くなってしまった。
予定では丹波に降りるつもりだったが、18時のバスによる帰宅となりかなり遅くなるために、大菩薩嶺を回って裂石へ降りることとした。大菩薩嶺から先の丸川峠方面へも踏み跡がかなりたくさんあったことにはびっくりした。丸川峠に着いたのは15時過ぎ。ここからかなりの悪路であったが、飛ばして17時のバスに何とか間に合った。もちろん、大菩薩の湯に浸かる時間は、なかった。